米国Start School LaterのHPにて、世界各国(具体的にはアメリカの47州、オーストラリア、カナダ、シンガポール、韓国、アラブ首長国連邦、台湾、イギリス、ベトナム)での始業時刻適正化の事例ならびに適正化に向けた動きが報告されています。本ページでは、その中から幾つかの事例を紹介いたします。
参照:https://www.startschoollater.net/legislation.html (外部サイト) https://www.startschoollater.net/success-stories.html(外部サイト)

学校・地区ごとの取り組み

  • 始業時刻を少し遅らせるケース
    • アメリカ小児科学会が推奨する始業時刻8:30以降までには変更しないものの、始業時刻を可能な範囲で遅らせた事例も数多く存在します。例えばアメリカウィスコンシン州のある学校での20分の始業遅延、ペンシルベニア州のある学校での25分の始業遅延などが挙げられます。香港で15分の始業遅延の効果を検証したChan et al. (2015)が示唆するように、可能な範囲内での始業時刻適正化もまた現状からの改善を図る方策として考えられます。
  • 市・学区単位での始業時刻適正化
    • 市・学区単位での始業時刻適正化も世界的に進み始めています。アメリカの一例として、ニューヨーク州のAlden Central School Districtでは高校の始業時刻を7:50から8:55へと変更しています(その他多数の事例が米国SSLのHPに掲載されております)。
    • アメリカ以外では、韓国の京畿道の高校で始業時刻が9時へと遅れております。その結果として睡眠時間が増加したとの研究も報告されています(Kim 2022)。台湾の台北市では、生徒に対して8:10分以前に登校することを要求しないようガイドラインが出ています。
  • 様々なアクターの活動
    • 保護者や生徒による働きかけも重要であると考えられます。ベトナムのホーチミン市では、始業時刻を30分遅らせることを保護者が求めているとの報道が出ております。米国のStart School Laterにおいても、生徒・保護者・研究者・教員・議員と様々なアクターからの働きかけを通じて始業時刻適正化が進んでおります。
  • 論文の出典
    • Chan, N. Y., Lam, S. P., Zhang, J., Yu, M. W. M., Li, S. X., Li, A. M., & Wing, Y. K. (2016). Sleep education in hong kong. Sleep and Biological Rhythms, 14(1), 21-25.
    • Kim, T. (2022). The effects of school start time on educational outcomes: Evidence from the 9 o’clock attendance policy in South Korea. The BE Journal of Economic Analysis & Policy.

アメリカにおける州法を通じた取り組み(抜粋)

最後にアメリカの州レベルでの取り組みをご紹介します。行政として、学生の睡眠と始業の問題を調査する姿勢が伺われます。

  • カリフォルニア州の始業時刻適正化法案(SB328)
    • 中学校の始業時刻を8:00以降、高校の始業時刻を8:30以降に設定することを義務付ける州法が施行されました(2022年6月1日)。
  • ユタ州
    • 各学区に対して、高校の始業時刻適正化を検討することを推奨する議決が可決されました(2020年3月24日)。
  • メリーランド州・ニュージャージー州・ペンシルベニア州
    • 睡眠と始業時刻に関する調査を行う州法が可決されました。各州の調査報告も公開されております。

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